蹴上インクライン

蹴上インクライン
photo by @_iwa_hikari
全長582mの長さを持つ世界最長の傾斜鉄道跡で過去には琵琶湖の海水を運ぶために使われました。線路があるのが特徴的でロケなどでもよく使用されています。最も安全に映画「スタンド・バイ・ミー」風の写真が撮れるかも!?

おしゃれで少し気の強いアヤコ
蹴上インクラインは桜の季節が最高!インスタ映え間違いなし。おしゃれな写真が撮れるスポットよ。
マイペースで好奇心旺盛なタカオ
歴史的な鉄道跡で、散歩や写真撮影にぴったり。特に春の桜が見事で、のんびり楽しめる場所だね。
冷静沈着な猫のニャンタ
蹴上インクラインは旧鉄道の跡地で、全長582m。桜の名所としても知られ、観光客に人気があります。
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【スポット】蹴上インクライン
【ふりがな】けあげいんくらいん
【 住所 】京都府京都市東山区東小物座町339
【アクセス】京都市営地下鉄東西線 蹴上駅 徒歩約5分
【最寄り駅】蹴上駅
【営業時間】年中無休
【 料金 】無料
【クーポン】なし

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蹴上インクライン ~桜だけでは勿体無い! 京都の発展を支えた琵琶湖疏水の要衝施設~

インクラインって何!?

蹴上インクラインは、滋賀県琵琶湖~京都の疎水を最大限に活用して発達した「船運」路の1つであり、今でこそ遺構が観光スポットになっていますが、京滋間の経済を結ぶ重要な船の道でした。一般的には琵琶湖の疎水として知られているルートの一部で、具体的には琵琶湖南西部の「大津」と京都を結ぶ船の道の中の一部です。

前述の様な船の道に於いて、その勾配が急すぎて船を漕いで行き来する事が出来ない場所では、船を台車に乗せて固定し、滑車やロープなどでその台車を昇降させて高低差を乗り切ります。この一連の工程を行う場所、方法を総じてインクライン(Incline)と言います。インクラインは日本の各地で用いられている手法ですが、特にこの琵琶湖疏水の中にあった蹴上のインクラインは日本を代表する物であると言われます。また、蹴上のインクラインはその距離がおよそ580メートルと長い事が特徴で、これは世界で最長のものになっています。

蹴上インクラインの歴史

蹴上のインクラインが産声を上げたのは1891年の事で、50年以上に渡って重要な水上交通として機能しました。しかし時代の流れと共に水運の需要は激減し、その多くが鉄道輸送に置き換わっていきました。蹴上のインクラインも戦後の1948年にはその役割を終えて運行休止。1960年には電気関連設備も解体されて、長い歴史に幕を閉じます。

それでも、このインクラインが担った物の大きさは計り知れず、1970年代にはその存在を再評価する機運が高まり、インクラインの整備事業に着手。1977年に現在の姿に整備され、1996年には国指定史跡に登録されるに至りました。

蹴上インクラインへのアクセス

自動車
蹴上インクライン専用の駐車場は無い、という事を先にお伝えします。近隣の民間パーキングを検索の上でご利用ください。地下鉄蹴上駅やウェスティン都ホテル京都、南禅寺などをナビ入力すると確実に近隣まで到達することが可能です。

電車
最もシンプルなアクセス方法が京都市営地下鉄です。地下鉄東西線の「蹴上」駅で下車。京都からは地下鉄を乗り継ぐ形となりますが、迷う事はまず無いでしょう。渋滞が日常化してしまっている地上とは違い、地下鉄は時間を計算できるのが最大の強みです。地上(2番出口)に上がれば直ぐに「インクライン」方面への案内表示があるので、それに従ってください。

バス
京都市バスを利用の場合は、起点となる場所がいくつかあります。「三条京阪」から17系統。「四条河原町」から70系統というのが主なアプローチだとお考えください。京都駅前からのアプローチならば地下鉄を推奨します。京都市バスはかなりルートが複雑で、近年は多客の影響で混雑や遅延が常態化しています。バス利用での散策は時間に余裕を持ってプログラムを組む事が必須です。

お得なきっぷを活用
市営地下鉄と市営バスの単独/共通1日券を筆頭に、京都には色々な種類の観光周遊券があり、これをうまく活用すると移動も簡単になります。蹴上インクラインは京都の東側の観光スポット群の真ん中に位置しており、ここが一番最初、最後の目的地になるケースは比較的少ないと思われ、旅程の最中に地下鉄やバス、もしくは徒歩での訪問になります。ですので、周遊チケットは大活躍が見込まれます。是非ご検討ください。特にバス券は「停留所1個分だけ乗っちゃえ!」という使い方が出来る点で旅の効率化が図れます。

京都の事情、迷ったら地元の方に
京都はバス便が複雑で分かり辛く、結局、土地勘のある地元の人に聞いた方が早いケースが多々有ります。「バス待ってる位なら歩いた方が早い」「こっち抜けると近い」なんて教えて頂くことも多数。京都は通りに名称がついているので「3本目を左」といった明確な回答も得やすいです。京都の方は特に通りの名前と「上がる(北へ入る)」「下る(南へ入る)」という言葉の組み合わせで位置を確認していますので、通りの名前を聞き漏らさない様にしましょう。

蹴上インクラインの見どころ

まずはその高低差をご自身の目で体感するのが一番です。一見するとなだらかな勾配の様にも見えますが、ここを船を乗せて台車が行き来したと考えると、なかなかの勾配です。インクラインのレールや台車は遺構として今も残されていますし、往時に想いを馳せる事が出来ます。蹴上駅にほど近いインクラインの南端部は「蹴上疏水公園」として整備されており、ここからインクラインを歩いて下っていくのが基本的なアプローチでしょう。

逆端まで行くと、南禅寺の参道と交差します。その直ぐ先にある「琵琶湖疏水記念館」では、このインクラインの歴史も含めた、琵琶湖疏水の全てを知る事ができますので、是非お立ち寄りください。京都の発展と縁深い、琵琶湖疏水の肝と呼べる施設なので、事前に何らかの資料に軽く目を通しておくだけで、印象はずいぶん変わると思います。

蹴上インクラインに絡めて

蹴上インクラインを知るに際して欠かせない「琵琶湖疏水」ですが、その遺構の1つに「水路閣」があります。当時から京都の人々が高い治水能力と建築技術を持ち合わせていた事が見て取れる場所ですので、お勧めしたいです。ここは京都を舞台にしたミステリードラマなどでも頻繁にロケ地になる場所で、フォトジェニックな、つまりSNS映え抜群の場所でもあります。特撮物やヒーロー物の作品などでもロケ地になっていますし、ポートレート等の撮影地としての人気も高まっています。

また、近隣徒歩圏内には「南禅寺」「禅林寺(永観堂)」「平安神宮」といった著名な社寺仏閣や「京都市動物園」「京都国立博物館」「京都国立近代美術館」といった文化施設も揃い、インクライン周辺を巡るだけでも1日がかりになるかもしれません。この他、穴場として「無鄰菴」という小さなお庭も是非。かなり多岐にわたるジャンルの施設がひしめきあうエリアで、誰が訪れても知的好奇心が掻き立てられる場所です。

インクラインとその周辺で歩き疲れた方に、休憩処としてお勧めしたいのが、ウェスティン都ホテル京都です。こちらには上質なティールームがあり、比較的人が少ない穴場のブレイクポイントだと言えます。

蹴上インクライン訪問記

当方は南禅寺拝観と水路閣を目的に蹴上駅からアプローチし、その流れでインクラインも見学しました。そこから更に永観堂へ抜け、哲学の道を辿って銀閣寺という徒歩ルートです。

インクラインに関しては、いわゆる閑散期だったのでほとんど人もおらず、静かな場所という印象を受けました。それでも、すぐ横には幹線道路があって車の往来の音は聞こえていますし、静寂で寂しさを覚える、という様な場所ではありません。

ただ真っ直ぐに延びるレールと台船から成る遺構を歩いていると「船が行き来する姿はさぞ特別だったろうな」と感じずにはいられませんでした。運用が始まった頃は、船が台車に乗って坂を上り下りする事が大変珍しく、それを見るためだけに人が集まってきたという逸話もあるそうです。

インクラインは琵琶湖疏水の要衝施設の1つであり、疏水そのものに興味を持っていた私にとっては、水路閣、疏水記念館と合わせて非常に見応えある場所だったと言えます。また、今ではなかなかできる場所も無い「レールの上を歩く」というのも楽しい経験です。綺麗な舗装が成されている訳では無いので、車椅子やベビーカーの方は相当厳しい場所ではありますが、一方で、普通のウォークシューズさえ履いていれば、気軽に歩けます。

蹴上インクラインをきっかけに、例えば、山科や大津まで足を伸ばして、琵琶湖疏水を追いかけるプランも面白いと思います。京都の発展は琵琶湖の水があってこそ成り立ったと言われており、京都を支えるインフラとしての疏水、その中の蹴上インクラインという立場で捉えていくと、ここをただの桜の名所という一言で終わらせてしまうのは、本当にもったい無いと言えるでしょう。近隣に見所も多く、どうしても後回しになりがちな名所だとは思いますが、是非ご検討頂ければと思います。

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